2017-07

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映画の中のネイティブ・アメリカン達③シャイアン

20060921101402.jpg


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●編集前記
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原作は女流歴史作家のマリオ・サンドス。
その原作を映画化したのがジョン・フォードです。
監督のジョン・フォードがこの映画について次のように語っています。
「私は長い間インディアンの物語を映画にしたいと考えていた。
私はインディアンたちを心から愛している。
いまこそ、インディアンが素晴らしい民族であることを
そしてこの民族の信の姿を巨大なスクリーンの上に描き出したい」
アパッチ砦や駅馬車、西部開拓史など数々の西部劇でインデイアンを登場させた
ジョン・フォード監督ですが、この作品を監督したのは69歳。
最後の作品ですが、本人の言葉からも分かるように一番
映画化したかった物語かも知れません。

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▼インディアンの悲劇を描くフォード最後の西部劇大作▼

◇◆◇『シャイアン』CHEYENNE AUTUMN◇◆◇ 
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【DATA】
ワーナー・ブラザーズ 155分
1964年(日本公開) アメリカ 155分
原題:CHEYENNE AUTUMN
制作:バーナード・スミス
監督:ジョン・フォード
脚本:ジェームズ・R・ウェッブ
撮影:ウィリアム・クローシャー
音楽:アレックス・ノース

【キャスト】
トーマス・アーチャー大尉/リチャード・ウイドマーク
デボラ・ライト/キャロル・ベイカー
リトル・ウルフ/リカルド・モンタルバン
ダル・ナイフ/ギルバート・ローランド
レッド・シャツ/サル・ミネオ
ウェツセズ大尉/カール・マルテン
スコット少尉/パット・ウェイン
軍医/アーサー・ケネディ
ウィコウスキー軍曹/マイク・マズルキ
スペイン女/ドロレス・デル・リオ
内務長官/エドワード・G・ロビンソン
ジェフ・ブライア/ジョン・キャラダイン
スミス/ハリー・ケリーJr
プラムツリー/ベン・ジョンソン

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■映画の紹介文から
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『フォード西部劇の集大成』

1878年9月。
オクラホマのインディアン特別保護区に抑留され
飢えと病気のために絶滅寸前にあったシャイアン族は
故郷のイエローストーンを目指して長い旅に出た。
追跡を始める騎兵隊。
彼等の衝突はマスコミによって誇大に広がり
国中に批判の声が巻き起こっていった。
そんな中、厳寒のネブラスカ北部で二手に分かれるシャイアンだったが…。
”ギリシャ激におけるコロス”のように
インディアンに英語を使わさないという大胆な試み
ワイアット・アープやドク・ホリデーが登場する
ダッジ・シティの幕間喜劇的描写。
フォードならではの演出が散りばめられた魅惑の西部劇だ。

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■ストーリー
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●一日の始まり。1978年9月7日。
1年前にここに移されるとき、白人たちが言った約束の日。
それが今日の日だ。その約束を信じてここに来た。
彼等の緑豊かな故郷ははるか2400キロ北にある●


南西部の不毛の地に「内務省インディアン局シャイアン保護区」と
名づけられたシャイアン族の居留地がある。
居留地から騎兵隊の駐屯地へ集結するシャイアン族286人。
今日、上院議員団が視察に訪れる。
1年後に故郷に戻すという約束が今日なのである。
シャイアンにとって、今日は特別な日。
3人の族長とともに、朝から整列して待ち続けるシャイアン。
しかし待てど暮らせど、議員団は到着しない。
明日以降でないと来ないとの連絡が入る。
終日、待ち続けたシャイアンは居留地へ帰っていく。
シャイアンの子供達に英語を教えるデボラは司令官に言う。
「政府に訴えてください。最初シャイアンは1000人いたのに
今は286人しか残っていません」
デボラとともにシャイアン族に理解を示すアーチャー大尉だが
立ち去ろうとする族長のダル・ナイフとリトル・ウルフに
「何も変わりはしない。保護局はこれまで通り、服や食料を供給する。
お前達は法に従う。覚えておけ」ということしか言えなかった。
「我々は多くのことを覚えさせられる。白人は何も覚えておかない」
そしてデボラに向かって「あなたは我々のために真実を言った。
我々はこのことを決して忘れない。だが学校はもう終わりだ」
「そんな子供たちが可愛そうよ」
「子供達は、そんな言葉を覚えないほうがいい」
「悪いのは言葉ではなく人間よ。あなたも英語を話しているわ」
「学んだのはずっと昔だ。昔は正直な白人がいた」

●歴史では注程度の出来ごとがこうして始まった●

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白人の約束は信じられないと判断したシャイアン族は
故郷イエローストーンに戻ることを決意する。
シャイアンに信頼されていたデボラは彼等と行動をともにする。
彼等は土の中に隠していた武器を取り出し、北へ向かう。
後に残ったのはティピのポールだけである。
アーチャー大尉はシャイアン族に同情しながらも
彼らを追跡する任務に従わざるを得なかった。
騎兵隊の追跡が始まる。

シャイアン族と追う騎兵隊との間で二度の交戦があったが
シャイアンはさらに北を目指した。
その途中、長老のトール・ツリーが死亡。
死の直前、二人の族長を前にビーズの袋をリトル・ウルフに手渡し、
後継者の指名をするが、ふたりの族長の間にひとつの確執が生まれる。
「お前の息子はオレの妻を狙っている」
「ありえない。オレの善良な血を継いだ息子だ。善良な血筋だ」
「血は同じでも別人だ」

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●見つからないよう辺境の地を選んで進むシャイアン。
そこには樹木も獣もなく、厳しい飢えが彼らに常につきまとった●


800kmの逃避行後、バッファローが北から下りてくる場所に着くが
既に白人のハンターによってバッファローは取りつくされていた。
それでもシャイアンは、故郷まで1500Kmの地点まで進んでいった。
その時に彼らが見たのは鉄道であった。

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●長い追跡のうちに地形も季節も変わっていった。
追う者にも追われる者にも、飢えと疲労が誘った●


故郷まで残り1100Kmの厳寒のネブラスカ北部。
雪の中、食料もなく、シャイアンは決断をすることになる。
ダル・ナイフは近くのロビンソン砦に投降することを選択。
リトル・ウルフは故郷を目指すことを選択するが
どちらにつくか皆に決めさせようということになる。
リトル・ウルフは
「あの希望はどこにいったんだ」とダル・ナイフに問いかけるが
ダル・ナイフは「腹をかきむしる飢えが希望をかき消した」と答えるだけだった。
ともに苦しんだ1300Kmの旅の後、シャイアンは分裂することとなった。
ロビンソン砦へ投降したダル・ナイフと婦女子と老人達。
当初は暖かいもてなしをした司令官も
本部からの「シャイアンを南へ移送せよ」の命令に対し
零下10度の倉庫にシャイアンを閉じ込める。
ダル・ナイフは「南に戻るならここで死ぬ。あそこには生活はない」
と決断、隠し持った武器で決起の準備をする。
一方、アーチャー大尉は彼らを救出するため、インディアン局を管轄する
内務省のシュルツ長官のもとへシャイアンの窮状を訴えに行く。
留守にしている間、シャイアンは交戦の後、砦を脱出。

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辛うじて生き残ったシャイアンは
保護区から1900Kmの地点でリトル・ウルフの一行と再会する。
しかし、再会もつかの間、大勢の騎兵隊が集結した。
だがその中にシュルツ長官の姿が。
臨戦体制をとる司令官を制止して、シュルツ長官はアーチャー大尉を伴い
ダル・ナイフとリトル・ウルフのもとへ話し合いに出向く。
「我々は多くの約束を破ってきたが、私は約束ではなく賭けを勧めにきた」
「白人言葉はどれも同じだ」
「話で油断させて、兵隊が…」
「頼むから聞いてくれ。君らは実に勇敢な旅をした。
故郷に戻って平和に暮らすに値する。
この事実を知れば国民も納得するだろう」
「国民に誰が話す。ロビンソン砦のことを一体誰が?」
「私が話す。約束する。この勝利の洞穴でたった今、勝利をつかめ」
シュルツの言葉に二人の族長は納得した。

新しい服を着たシャイアン達がアーチャー大尉の部隊に護られて
故郷のイエローストーンに到着した。

●しかし、まだ彼等には癒すべき傷と埋めるべき溝があった。
まだシャイアンの地に戻っていない者もいた●


部隊が去った後
自分の妻を奪ったダル・ナイフの息子レッド・シャツを射殺したリトル・ウルフ。
自分の種族は決して殺さないという誓いを破ったリトル・ウルフは
長老トール・ツリーから受け継いだバッグをダル・ナイフに手渡し
妻と共に仲間達と別れ、旅に出る。

●こうして平和が訪れ、長の中の長を示す印が手渡された。
同族の血を流した者に、これを持つ資格はないのだ●


注:●の部分は映画のナレーションです。

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■解説
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リトルウルフ・ダルナイフxx
リトル・ウルフとダル・ナイフ

1876年6月、シャイアン、スー他の連合軍がカスター中佐率いる
第7騎兵隊350人を全滅させた「リトル・ビッグホーンの戦い」。
その2年後、米国軍隊はインディアン撃滅に本腰を入れはじめた。
激しい戦いに敗れたシャイアンは武器を捨てて、マイルズ将軍のもとに投降。
シャイアン960人は故郷のイエローストーンを離れ
オクラホマ州の指定居留地で生活を始めるが、医療施設のない居留地で
マラリアや飢えのため子供50人を含む大半の生命が奪われてしまう。
それでも我慢しながら白人が約束を果たすのを待つが…。
脱出を決めたシャイアンはついに1878年9月9日の夜
2400Km彼方のイエローストーンへの脱出を決行する。

この映画は上記の史実に基づいた300人のシャイアンの長い脱出行と
彼等を追跡した1万人に及ぶ騎兵隊との死闘の記録を映画化したもので
迫害される少数民族の悲劇を、任務遂行と良心の間で苦悶する将校の目を通して
見事に描いています。
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迫害される少数民族の悲劇を、任務遂行と良心の間で苦悶する将校の目を通して
見事に描いた傑作ですが、
・この映画でジョン・フォード監督は当時の白人達の
インディアンに対する考え方や対応の仕方を描くということ忘れていません。
政治家、兵隊、クェーカー教徒、一般市民、カウボーイ他
色々な立場の白人達がインディアンをどう思い、考え、どう理解し
どう接してきたかということがインディアンの苦悩とは別に描かれています。
そんな象徴的なシーンが途中、ダッジシティの町にシーンが変わるところです。
町の酒場でポーカーに興じるワイアット・アープとドク・ホリデイが登場。
シャイアンが来るという噂で町は市民軍を結成します。
そして女性も混じって、わざわざシャイアンを見に
馬車を連ねて出かけていきます。

また新聞はシャイアン族と騎兵隊の間の戦いを大げさに報道、シャイアンに出合
ったカウボーイはインデイアンを一度、撃ちたかったといって射殺するなど
当時の時代背景や状況を伝えています。

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・死んだ長老を土葬するシーンがあります。
小さな岩山の開いた部分にそのまま死体を入れて、上から岩を落として
開いた入り口を塞ぐのですが、本来はシャイアンは火葬ですが
旅の途中ということからの判断なのでしょうか。

・リトル・ウルフがダル・ナイフの息子を射殺するシーン。
本来、シャイアンの族長は女性問題でやきもちを
やいてはならないことになっています。
例え妻が他の男と駆け落ちしても、自分が傷つけられたとか
復習をしてやるとか次元の低いことは考えないといういうのが
一般的だった。
それからするとおかしいかもしれませんが、法律ではないので
厳守することもなかったのかもしれません。

・冒頭シーンに登場するティピ・ビレッジ。
色彩や絵の無いティピに、ペインティングの無い馬。
着ている服は白人のもの。
不毛の地での夢のない生活の象徴なのでしょうか。
この映画では様々な小道具が登場します。
ピースパイフ、フルート、トラボイ、ウォークラブ、ビーズワークを施したバッグ
赤ん坊を背負う保育器他。
そんな小道具を注意深く見るのも楽しいものです。

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■印象に残った言葉
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・北へ旅立つ前に居留地に駆けつけたデボラは
「長老は弱ってて、とても長いたびに耐えられないわ」とダル・ナイフに告げるが
「1Kmでも故郷に近づいて死ねれば本望だ。ここでは死ねない」

・騎兵隊との交戦後。
傷ついた子供や死んだ女性を前にしてデボラは二人の族長に
「妻子のことを考えないの」
「私は妻達に息子を生んでもらいたい。だが私の故郷以外では生まれて欲しくはない」
「犬でさえ好きな所に行くのに、我々はそうではない」

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● 編集後記
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インディアンをテーマとした映画だけに、シャイアンには330人のインディアン
が登場します。
ですが、西部各州を探してもその人数のシャイアンを見つけ出すのは不可能だった
らしく、撮影場所ともなった北アリゾナ州から南ユタ州に及ぶナヴァホ族から選ん
でシャイアンを演じさせたということです。
そうした協力が得られたのも、ジョン・フォードが過去に貧困に苦しむナヴァホ族
を見かねて再三、映画の仕事を紹介してあげたという経緯があったからこそです。
ジョン・フォードはナヴァホから完全な信頼を得て「背の高い指導者」という特別
の愛称で呼ばれていたそうです。


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北米先住民族文化研究所 パニオロ・ケニー

Author:北米先住民族文化研究所 パニオロ・ケニー
ネィテイブ・アメリカンの研究をライフワークとしています。研究を始めて15年。インディアン、エスキモー、イヌイット等、北米の先住民族〔ネイティブ・ピープル〕の生活文化の素晴らしさと事実を多くの人に知ってほしいと思います。






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