2017-10

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映画の中のネィティブ・アメリカン達⑦幌馬車

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●編集前記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この映画の主役はインディアンではなく、開拓民です。
しかし開拓民にとって、一番やっかいな存在はインディアンでした。

この映画にはさまざまなシーンで異なるインディアンが登場します。
簡単にいえば、白人を受け入れたインディアンとそうでないインディアンと
いうことです。

邦題で同名の映画があります。
原題は「WAGON MASTER」。
1950年公開のサイレント映画です。
こちらの主人公はモルモン教徒の開拓民で
行く先はユタとアリゾナの州境の町サン・ファンです。


無声映画なので字幕はありません。
映像の間に文字が書かれた画面が登場するというものです。
BGMとしてピアノの伴奏が入っていますが
うるさいだけなので消音して観ることをお奨めします。

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▼途方もないスケールと充実感に圧倒される最大級のサイレント映画▼

◇◆◇『幌馬車』THE COVERED WAGON ◇◆◇ 
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【DATA】
97分
1923年
 
原題:THE COVERED WAGON
監督:ジェームズ・クルーズ

【キャスト】
J・ウォリン・ケリガン
ロイス・ウィルソン
ジョン・ウォーレン・ケリガン
ロイス・ウィルソン
ジョニー・フォックス
アーネスト・トレンス
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■映画の紹介文から━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『どこまでも続く幌馬車の列』

19世紀半ばのアメリカ西部。
肥沃な大地を目指す幌馬車隊が、
大自然の驚異や白人に恨みを抱くインディアンの待ち伏せなどの障害を
乗り越えながら旅を続けていく様を、壮大なスケールで描く。
アメリカ西部の雄大な自然の中に人間の愛憎劇を織り込み
無声映画史上に金字塔を打ち立てた西部劇の名作。

遥かオレゴンを目指し、西部の荒野を一団の幌馬車隊が出発するが
数々の苦難のため脱落者や仲間割れが続出。
その上、白人に恨みを抱くインディアンが
一行を皆殺しにすべく待ち構えていた…。
無声映画史上に燦然と輝く名作。
19世紀のアメリカ西部を舞台に、肥沃な大地をめざし、
様々な障害を乗り越えながら旅を続けていく
幌馬車隊の姿を壮大なスケールで描いた名作ドラマ。

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■ストーリー━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●アメリカの血は開拓者の血。
勇敢な男女の血でもある。
未開の荒野から素晴らしい文明を築いた。
未知の危険にも、不屈の闘志で立ち向かい、
ミシシッピ川やブレーリーやロッキー山脈を越えた。
彼らは西の国境を目指した。
アメリカ合衆国が二つの海で仕切られていることを知るまで。

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1848年。ウエストポート上陸場。後のカンザスシティー。
5月、ミシシッピ地域、オハイオから膨大な数の幌馬車が集まった。
全財産を積んだ幌馬車(カバードワゴン)の数100。
彼等はウエストポート~オレゴン3200Kmの旅に旅立つ。
また遥か西部の町でもオレゴンを目指す者達がいた。

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一方、インディアン達は集会を開いていた。

白人が日の沈む場所を目指している。また霧の川を渡ろうとしている。
彼等はこの巨大な武器でファローを埋め
森を根こそぎにし、大地を平らにする。
邪悪な白人を殺さねば、我々が滅んでしまう

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5月24日、プラット渓谷を渡る。
1週間で320Kmを進むが、心破れた者が一人また一人と脱落していくが
大河ブラットに到着。
川岸にはインディアンが渡し舟の営業をしている。
幌馬車1台につき10ドルだというが、幌馬車隊は断り
自分達で渡ることを決めるが、川を渡る場所について意見が衝突。
幌馬車隊はバニオン隊とウィンフィールド隊の二つに分かれ
別行動をとることに。

分かれたウィンフィールド隊は道中、ポーニー族の襲撃を受けるが
残った人達はワイオミングを超え、ロッキー山脈に分け入り
バニオン隊に続き10月にはブリッジャー砦に辿り着く。

砦はカリフォルニアで金が見つかったというニュースで持ちきりだった。

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ウィンフィールド隊は砦の外での野営。
結婚式の準備をしていた花嫁に突然1本の矢が刺さる。
火を消し、幌馬車でバリケードを築き臨戦態勢をとる幌馬車隊。

夜が明けると、インディアンは行動を開始した。
葉のついた大ぶりの木で体を隠し、一歩づつ近づいて来る一群に続いて
馬に乗った者が一斉に攻撃を仕掛けてきた。
最初は優勢だった幌馬車隊だが、火のついた矢が幌馬車に放たれたことから
燃え上がる幌馬車を取り除くこととなり
崩壊したバリケードの隙間から一気にインディアンがなだれこんできた。
形勢は逆転したが
しばらくして別の場所で野営をしていたバニオン隊が助けにきた。
しばらく戦闘が続いたが、インディァンは退散した。

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雪が降る季節。
ウインフィールドの幌馬車隊はまた旅を続けていた。
途中にオレゴンとカリフォルニアの方角を指示する標識が。
一攫千金を夢見る者はカリフォルニアへ。
当初の目的通り農地開拓を目指すものはオレゴンへ。

1849年の春。
バニオン隊に遅れて、ウィンフィールド隊はロッキーを越え、オレゴンに到着する。
こうして1年をかけた3200Kmの旅は終わった。

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■解説━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●WEST Ward Ho!
お~い、西へ行こうぜ

何万人もの東部の人が
オレゴンやカリフォルニアは農業に適した素晴らしい土地が広がっているという
伝聞を信じて、我も我もとに西へ西へと向かった。
ヨーロッパの移民達も東部には見向きもせず、未開の辺境へ旅立ちました。

そんなフロンティア(入植者・開拓者)にとって上の言葉は合言葉でした。
そんな彼等が使ったのが幌馬車である。
しかし幌馬車を買えないものは二輪車を押したり、徒歩で行くものもいました。

大草原を横切っていく幌馬車の長い列は、遠くから見ると
緑の樹海を航海する帆船のように見えることから
草原の帆船(プレーリー・スクーナー)と呼ばれていました。
幌馬車には生活に必要なものの全てが詰め込まれていました。
荷物で幌馬車が一杯になってしまうと、人間は歩くしかありませんでした。
しかし大型の幌馬車は8トンもの荷物を積めました。

雄牛や馬が引く幌馬車が1日に進めるせいぜい距離は20km。
そのうえ幌馬車にはブレーキもサンペンションもなく、乗り心地は最低でした。
幌馬車には雨、風、ほこりを防ぐためキャンバスの幌がつけられました。
幌は亜麻仁油に浸されたものでした。

幌馬車は一般にカバード・ワゴンと呼ばれていましたが
開拓者はコネストガ・ワゴンと呼んでいました。
参考までにコネクトとはペンシルバニア州のサスケハンナ河沿いに
住んでいたイロコイ族の一部族の名前です。

この部族は開拓民によって滅ぼされたが
後の開拓民がインディアンの部族名がついた幌馬車を使うとは皮肉な話しです。
この取り外しのできるコヌストガ・ワゴンを考案したのはドイツ系移民です。
幌馬車が駅馬車(ステージコーチ)に進化したのは1827年頃のこと。
駅馬車は正式にはコンコード・コーチと呼ばれていました。

3000km以上にも及ぶ旅は幌馬車で4カ月~6カ月もかかりました。
インディアンに襲われることを避けるため、まとまって一緒になって旅をしました。
その数は最低25台、一般には100台でした。

この映画に登場するジム・ブリッジャーは
伝説的なトラッパーで軍のガイドでした。
1843年にワイオミングにブリッジャー砦を築きました。
この砦はオレゴントレイルにあり、カリフォルニアトレイルが別れて
南へ向かうフェアウェルベントの近くにありました。
ブリッジャーはインディアン女性3人と結婚したとの記録が残っています。
実際、映画の中でも3人の妻のことを語っています。
映画の中ではオロカモノとウスノロと呼んでいますが。

●オレゴントレイル

ミズリー州・インディペンデンス~カンサス州フィル・カーニー砦~ネブラスカ州~
ワイオミング州ララミー砦~サウス・パス~アイダホ州ホール砦~
オレゴン州ボイシ砦~ヴァンクーヴァー砦


●この映画に登場するインディアン

この映画では幌馬車隊の出発地のインデペンデンス、ブラット川、ブリッジャー砦
の3箇所にインディアンが登場します。
それぞれの州から推察すると
ミズリー州(ミズーリ)はミズリー
カンサス州ーはオト(Oto)、カンサ(kansa)、オサジ(Osage)
ワイオミング州はアラパホ、シャイアン、ポーニーの各部族ではないかと思われます。

・出発点のウエストポートにティピが町の周囲に立っています。
そして3人のインディアンが登場しますが
一様にウォーボンネットを身につけています。
既に白人社会に溶け込んでいるインディアンが
普段は身につけないものをつけているのは映画の演出なのか
それとも自分は地位が高いということを誇示しているのか
興味深いところです。

・ブリッジャー砦のインディアンはナバホのデザインらしい毛布を身につけています。
デザインはとても素晴らしく、リアリティがあります。
それを着用しているインディアン達はもちろん本物ですが
1920年代の時代のインディアンの顔つきの素晴らしいこと。
その顔を見るだけでも価値のある映画です。

・インディアンの襲撃シーン
木の枝でカモフラージュして近づいてくるインディアン
岩の上から火のついた木を投げつけるインディアン
幌馬車を押して移動するインディアン
そしてバラバラで突撃するインディアン。

西部劇の多くは
インディアンが幌馬車隊や騎兵隊を襲撃するシーンとなると
まとまって襲撃してくるのがほとんどですが
実際の襲撃はこうだったのではないかと納得してしまうほど現実的です。
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北米先住民族文化研究所 パニオロ・ケニー

Author:北米先住民族文化研究所 パニオロ・ケニー
ネィテイブ・アメリカンの研究をライフワークとしています。研究を始めて15年。インディアン、エスキモー、イヌイット等、北米の先住民族〔ネイティブ・ピープル〕の生活文化の素晴らしさと事実を多くの人に知ってほしいと思います。






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